今年2017年は、メゾン・エ・オブジェ 1月展と、さらにHall 8が 住宅設備・内装素材に焦点を搾った “Projets”となる9月展に出展した 「すがたかたち」。
メゾン・エ・オブジェとは、毎年パリで1月と9月に開催される欧州最大級のインテリア&デザインの国際見本市である。
”すがたかたち”は 2013年、ジェトロが主催の共同出展ブースJ Style +に、日仏選考委員により選抜された16社と共にメゾン・エ・オブジェ・パリ初出展。その後、ジェトロブースとして毎年1月展に出展してきた。
会場となるパリ・ノール・ヴィルパント見本市会場はパリ市内北部に位置し、シャルル・ドゴール空港からアクセスしやすい立地にあり、総来場者は5日間で8万5千人に昇る。
今年の9月展は、2016年9月と比べると21.4%増加で、78,419人(DEAIさま報告より)だそうだ。
9月展でのSUGATAKATACHIのブース位置は良かった。Hall 8の入口に比較的近く、入口から入って、真っすぐ歩くとたどりつける分かりやすい立地であった。
直ぐ近くには、今回のデザイナー・オブ・ザ・イヤーに選ばれたフランスのインテリアデザイナーのトリスタン・アウアーのギャラリーブースがあった。
1月展では、極寒の中での必死の搬入となるが、9月展は気温が暖かいというだけで身体に優しく、気分も少しウキウキとなる。搬入前のHALL8の前にて。
9月展では、那須烏山市の金属加工業の(有)佐藤精機さんとのコラボで作り上げたアルミニウム製ドアハンドル”Vagues”の来場者の反応が気になるところ。1月展では、ボルドーの4つ星ホテルや、ミラノの建築家のプロジェクト用にDH-V1採用が決まった。
正直、毎年同じようなブース展示である。
派手な仕掛けはできないが、低コストで粘り強く出展し続ける方法がすがたかたち流。
初出展となる9月展はジェトロのサポートが無いので単独での出展となったが、1月展を含めると既に6度目の出展となるので全て順調に問題無くセッティングができた。通常、ライトが壊れているとか、壁に穴が開いているとかの諸問題があるが、9月は現地のセッティング業者さんたちにも心の余裕があるのか、いつになく準備は完璧だった。
写真のように、机の上の製品を手に取って物色してゆくバイヤーが多い。最近はインスタなどのSNSに勝手に載せてくれるので、写真も通常はOKとしている。
9月展のブースの担当は、すがたかたちデザイナー 高橋靖史(夫)と、パリ在住30年となり頼れるベテランの亀島純子さん。
Safi(主催者)のHall8担当者が聞き込みに来た。今回、最終日の火曜日にパリやCDG空港からのアクセスの足となるRER B線がストとなり、運行が半分に減ることになった。全く通らない訳では無いので助かったが、客足が遠のくので「メゾン・エ・オブジェ会期中のストは起こらないようにして欲しい。」と強く訴えた。
ボルドー4つ星ホテルのプロジェクトを担当し、すがたかたちのアルミニウム製ドアハンドルDH-V1をセレクトしたパリのデザイナー、バンビさんが再来。「木もいいね。」と。フランスでは気に入るとリピートしてくれる率が高い。
率直な感想としては、1月展との明確な違いは特に感じられなかった。しかしながら、リアクションメモに目を通すと、当社にとっては質の高い(受注の可能性が高い)バイヤーが多いことが分かった。会期中の成約も数件あったが、ほどんどの場合、実際のプロジェクトは先となるので注文の時期がずれる。首を長くして待つしかない。
1月展と、どのような違いがあるのかと周りを見渡すと、確かに1月展は家具、照明、文具などのインテリアデザイン製品が多いのに比べ、9月展では床材、壁材、ハンドルなどの、しかもハイエンドの内装品が目立っていた。前のブースはLEDを壁に埋め込んだ壁材で、左隣りはブロンズや真鍮を使った工芸品(ランプ・イスなど)。右隣は、すがたかたちと同様、スキーリゾート5つホテル「La Mourra」にドアハンドル(こちらは金属製)をおさめたという、”CUINCALUX”。同じホテルに納品したということで仲良くなり、展示会終了後にベルギービール(なんと冷蔵庫持参で冷やしてある!)をいただく等の交流があり盛り上がった。
そして、後ろのブースはガラス工芸品(高級ホテルのスパ、家具の前扉、教会の照明などの仕事)を製作するパリ郊外に工房を持つ、ガラス作家夫婦であったが、奥さんの方が、パリの国立美術学校で夫と同級生であった。それで、夫とは昔話しで相当に盛り上がっていた。ご夫婦共に穏やかで親しみがあり、心が和んだ。
会期中にサンジェルマンに事務所とギャラリー・店舗を構える建築家・デザイナー夫婦が来場し、ドアハンドルを気に入ってくれた。取り扱いたいのでぜひサンジェルマンのお店に来てくれとメールをもらったので訪ねて、取扱の契約を交わした。サンジェルマン通りを挟んで2店舗ある。
ブリジットさんのFB はこちら。
建築家・デザイナーのブリジットさんとパチリ。
一つ一つの出会いを大切にしなくてはとひしひしと感じる今日このごろ。
すがたかたちのお客様となってくださる方々のほとんどは、審美眼に優れ言わずとも製品の良さを分かってくれる希少な人種。そのことに私たちは助けられているからだ。
アーティストが生き抜く為の一つのビジネスモデルとして成功したい。
一代で成功しなくとも、私たちは地ならしで、次の世代につながれば良しとしたいとも思う。